心の指針ルーレット



【人生をやり直せるか】

夜中には何度か目が覚める。
まるでタイム・マシーンに乗っていたかのように、
いつも過去のある時点に戻っていた。
夢はいつも選択を迫るのだ。
人生の分岐点に立ち戻って、
もう一回チャンスを与えられたら、
同じ判断をするのかと。

何が正しかったのか。
他の方法はなかったのか。
すべてが決まっていたのか。

少し考えてから、
ドイツ語の勉強を十分ぐらいやり、
もう一度寝ようと試みる。
なかなか眠れないと思っているうちに、
いつしか、また夢に落ちる。

夢に続きがある場合も、
まったく別の過去に立ち戻っていることもある。
判断に苦しんでは目が覚める。
そしてまたドイツ語の勉強をする。
これを三回ぐらい繰り返しているうちに、
夜が開けてくる。

カイコが苦しみながら糸をはき続け、
それが絹織物になっていくように、
随分たくさんの本を出してきた。
「きっと誰かの救いになりますように」
と祈りながら、今日も私の一日が始まる。

(心の指針137)

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