心の指針ルーレット



【束の間の旅】

その日は、誰にも平等にやってくる。
死の下の平等――。
たとえ人間の寿命が、
二百歳や三百歳に延びたとしても、
死の恐怖や、
苦しみや悲しみは、なくならないであろう。

未来社会にも、
宗教は存続し続けるであろう。
この世がいかにバラ色に輝こうとも、
医学がいかに発達しようとも、
宗教なくば、
死の恐怖を乗り越えることは難しい。

そしてまた、
いちはやく、死の恐怖を超越した者こそ、
英雄となり、
覚者ともなるのだ。

人生も半ばを過ぎたなら、
少しずつ、
この世への執着を減らしてゆけ。
名誉心をおさえ、
利己心を透明なものへと変えてゆけ。
財産はあっても、持ってはゆけない。
怒り少なくして、
穏やかな心となることを尊ぶがよい。

あの世から見れば、
この世は、束の間の旅にしか過ぎないのだ。

(心の指針 99)

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